2022年8月1日

 

 カツオは主に暖水の張り出し及び暖水塊の北縁部西寄りに分布する傾向があります。そこで、水産研究・教育機構 の海況予測システム FRA-ROMS II による 8 月の予測水温データをもとに、カツオの主分布域を予測しました(図 1)。主分布域の予測には、FRA-ROMS II による、海面及び深度 20m における 2022 年 8 月の毎日の水温予測デー タ(2022 年 8 月 1 日に更新)をもとに計算された平均場(図 2)を用いました。8 月にカツオが分布するのは、海面 水温が 22-24 度の範囲であり、かつ、深度 20m において水温が高くなる方角が東ないし南向きである海域です。

 なお、9月の主分布域予測は、8月下旬に更新予定です。

図1 2022 年8 月のカツオ主分布域の予測
図2 2022 年8 月の月平均海面水温図:2022 年8 月1 日更新のFRA-ROMS II 予測による

<参考資料:カツオ主分布域の導出について>

 カツオ竿釣漁船の船間無線交信情報(QRY)と水産研究・教育機構の海況予測システム FRA-ROMS の水温デー タを用いて、7-8 月の北緯 35 度以北のカツオ漁場における海面水温と深度 20m の水温勾配の方角の頻度分布を算出 した。なお、QRY および FRA-ROMS の水温は 2010-2016 年の期間のデータを用いた。海面水温の頻度分布は 23 度台にピークを持っており、22-23 度台には全体の 39.9% が含まれていた(図 3)。また、カツオが分布する海域の 20m 深の水温勾配の方角は、東ないし南向きが多く、全体の 31.1% があった(図 4)。この方角は、黒潮系暖水の北 への張り出しにおける西側の海域や、暖水塊の北西側の海域のように、水温が暖かくなる方角が東ないし南向きにな る海域を表している。

 以上の2つの条件に合う海域を 8 月のカツオの主分布域とした。

図3 カツオ漁場における海面水温の頻度分布:全体で100% となるように規格化されている
図4 カツオ漁場における深度20m の水温勾配の方角の頻度分布(左)と模式図(右):頻度分布では最頻値を
円の最大値としている。