我が国の沿岸海域は、天然の海産物を育む重要な場所であると同時に、養殖生産の場所としても非常に重要です。私たちが沿岸海域からもたらされる海の幸を継続して利用していくためには、海の環境についてより良く知り、健全な環境を守るための努力をすることが必要です。環境保全部では、沿岸域における漁業の持続的発展に障害となる赤潮や貝毒の発生を予測するとともに、それらによる被害を軽減する技術の開発や赤潮による魚介類のへい死機構の解明に取り組んでいます。また、沿岸域に存在する化学物質による汚染実態を把握し、環境を浄化する技術の開発を行うことで、そこに生息する水産生物にとって健全な環境づくりに役立つ調査・研究を行っています。

環境保全部は、有害・有毒藻類グループと化学物質グループで構成されています。

有害・有毒藻類グループ

 微小なプランクトンが引き起こす赤潮や貝毒は、増養殖を中心とした水産業に大きな被害をもたらします。有害・有毒藻類グループでは、赤潮や貝毒の発生機構解明、予察技術開発、被害軽減技術開発など、健全な漁場環境を守るための研究開発を行っています。

化学物質グループ

 海に流れ込む様々な化学物質は、時にそこに暮らす生き物たちに脅威を与えることがあります。化学物質グループでは、人為活動に由来する様々な化学物質の挙動や生物への影響調査、環境改善技術の開発、また、最近ではマイクロプラスチックの魚に及ぼす影響調査など、海と、そこに暮らす生き物の環境を守るための研究開発を行っています。

有害プランクトンのカレニア・ミキモトイによる赤潮
沿岸を取り巻く環境と化学物質グループの業務