国立研究開発法人水産研究・教育機構は、水産物の安定的な供給と水産業の健全な発展に貢献するために、水産分野における研究開発と人材育成を推進し、その成果を最大化し社会への還元を進めることを基本理念として活動を続けてまいりました。

 当機構は、平成13年に水産庁所属の9研究所を統合して発足以来、海洋水産資源開発センター、日本栽培漁業協会、さけ・ます資源管理センター、水産大学校と順次統合し現在の体制になりました。

 統合により全国各地にある全ての施設を引き継いできましたが、組織体制が調査研究の必要性に必ずしも一致していないことや施設の多くが老朽化していることから、今後、必要とされる調査・研究等を将来にわたり着実に、かつ、効果的・効率的に推進するため「水産業の成長産業化を推進するための試験・研究等を効果的に実施するための国立研究開発法人水産研究・教育機構の研究体制のあり方に関する検討会」の提言が平成30年4月にまとめられました。

 また、同年12月には我が国の漁業をとりまく環境の変化に対応して、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させ、漁業者の所得向上と年齢のバランスのとれた漁業就業構造を確立することを目指す水産改革を進めるべく、漁業法が70年ぶりに改正されました。

 当機構には、政府の研究機関として、検討会の提言や改正漁業法に沿い、「科学的・効果的な評価方法と評価対象種を有用種へ拡大」、「国際競争力につながる養殖業の新技術開発」、「気候変動・不漁問題」、「人口減少を見据えた生産性の向上と自動化等による操業省力化」、「漁業インフラの整備」、「水産物の安全・安心と輸出促進を含めた新たな利用」等への対応を通じて水産業を支えていくことが求められています。

 これらを背景として、当機構は、産業研究所として水産業に関わる技術開発研究の中心的役割を果たしイノベーションを起こして水産改革実現の一翼を担うために、これまでの9研究所で構成していた研究開発部門を「水産資源研究所」と「水産技術研究所」に再編し、その2研究分野に加えて開発調査センターを中心とする社会実装・企業化分野、水産大学校を中心とする人材育成分野の4本を柱として研究開発を戦略的に取り組むこととしました。

 今回の組織再編をスタートとし、令和3年度から始まる次期中長期計画期間においても、時代に即した効果的な研究開発の実現に向け、各研究開発分野の使命を全うするばかりでなく問題に応じて分野横断的なプロジェクトにより機動的な対応を図りつつ、引き続き、組織と業務の合理化・効率化を計画的に進めてまいります。

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 理事長 宮原 正典