水産技術研究所は、増養殖生産を中心とした幅広い分野における技術開発を主な目的として、2020年7月、水産研究・教育機構の組織再編により、水産資源研究所とともに発足しました。これまで異なる研究所で行われていた養殖や環境などに関する研究を一つの組織に集約し、基礎から応用までの研究を一貫して進めます。
当研究所の研究体制は、「養殖部門」と「環境・応用部門」の2部門です。養殖部門では、農林水産省の「養殖業成長産業化総合戦略」で戦略的養殖品目とされたクロマグロや、種苗量産が難しいウナギの養殖技術の高度化をはじめ、飼料開発、育種研究や病理研究に取り組みます。環境・応用部門では、環境変動を捉えつつ水産資源の増殖を見据えた沿岸・内水面生態系に関する研究や漁場造成、AIなどの手法を取り入れた工学及び利用・加工分野の研究、脱炭素社会を見据えた新たな技術開発に取り組みます。
さらに新たな体制では、「企画調整部門」を設置し、部門間や他機関との連絡・調整を図ることにより、研究成果の社会実装の進展をめざします。2021年5月に農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」では、人工種苗、飼料、育種、漁船等の電化・水素化、ブルーカーボンなどにおいて達成すべき目標が設定されました。それらの目標の達成に向け、3部門が連携して研究開発に取り組み、安全・安心な水産物の提供と安定した生産基盤の確立をめざしていきます。
水産技術研究所長 水産技術担当理事
青野 英明