二枚貝の生産海域における麻痺性貝毒のリスク管理は、マウス毒性試験による検査法を公定法として1970年台に整備されましたが、近年は動物倫理の観点から、マウス試験などの動物試験は代替となる試験法とすることや、試験数を削減することが求められており、2005年には国内でも動物愛護管理法にその旨明記されました。
 このような状況のなか、2015年には農林水産省から「生産海域における貝毒の監視及び管理措置について」が通知され、麻痺性貝毒においても公定法(マウス検査)と同等の性能を有している方法が検査法として使用可能となったほか、生産現場のリスク管理に簡易測定法を用いたスクリーニングを導入することが可能となりました。
 そこで、高速液体クロマトグラフィータンデム質量分析(LC/MS/MS)法を用いた麻痺性貝毒の機器分析法について、国際的な妥当性試験に協力するとともに、妥当性が確認された本手法を「麻痺性貝毒とテトロドトキシン測定のための超高速液体クロマトグラフィー質量分析法(UHPLC/MS/MS)マニュアル」にまとめました。
 また、国内で麻痺性貝毒の分析に汎用されているHPLC分析法についても、超高速液体クロマトグラフィ-(UHPLC)を導入した手法を開発し「麻痺性貝毒のポストカラム蛍光誘導体化UHPLC分析法(UHPLC/OX/FL)マニュアル」としてまとめました。
 さらに、麻痺性貝毒の簡易測定法については、イムノクロマト法に基づいた麻痺性貝毒簡易分析キットを日水製薬(株)と共同で開発するとともに、本キットによるスクリーニング法の検討を行い「麻痺性貝毒簡易分析キットによるスクリーニング法導入マニュアル」としてとりまとめました。
 生産海域の麻痺性貝毒のリスク管理において、これらの機器分析法や簡易分析法が導入されることで、これまで以上に安全かつ効率的なリスク管理体制が構築されることが期待されます。
 なお、本マニュアルは「安全な農林水産物安定供給のためのレギュラトリーサイエンス研究委託事業(課題名:麻痺性貝毒の機器分析法の高度化及びスクリーニング法の開発)」(農林水産省、平成29~31年度)における成果の一部です。